精神科看護師はレベルが低い?【使えないと言われる理由や対策を解説】

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精神科仕事
精神科の看護師は本当にレベルが低い?

精神科看護師は、他の領域の看護師と比べてレベルが低いと思っていませんか。

精神科で働くと、一般科の看護師と比べて「使えない看護師」になるかもしれないと不安になりますよね

しかし、精神科だからこそ得られるスキルはたくさんあります

他の領域に負けない専門的な知識と、技術を身につけられます。

本記事では、「精神科看護師はレベルが低い」と言われる理由や、スキルアップの方法についてご紹介します

このブログでは大学を卒業後、新卒から10年間精神科で勤務し、慢性期・急性期・認知症・男子閉鎖病棟などを経験してきた筆者が、その知見を基にご説明します。

目次

精神科看護師は使えない?本当にレベルが低い?

精神科看護師はレベルが低い
レベルが低いと言われるのはなぜ?

「精神科看護師になろう」と考えたときに、よく耳にするのが「精神科の看護師は使えない」「精神科はレベルが低い」という声です。

私は10年のキャリアで、「看護師としてレベルが低い」と言われたことはありませんが、

他の診療科で働く看護師さんから「あの人は看護師としてレベルが低い」と思われてないかと不安になることはありました

なぜ「精神科の看護師はレベルが低い」と言われるのでしょうか。

その理由について解説していきます。

レベルが低いと言われる理由は?

一番の理由はやはり「身体管理ができない」ということでしょう。

採血やレントゲン、心電図などのデータを正確に読み取り、患者さんの身体のアセスメントを的確に行い、身体管理をすることは精神科の看護師は苦手な分野かもしれません。

事実として、経験できる検査や疾患、操作する医療機器の種類は一般科と比べて少ないです。

ほとんどの精神科病棟では輸液ポンプやシリンジポンプを必要とする点滴管理はありません。

心電図モニターについても、1年で10日くらいしか見ない病棟もありました。

一般的に、精神科看護師が臨床現場で精密な身体管理を経験する機会は少なく、知識や経験を積みにくいという事実はあります。

しかし、ここ数年は事情が変わってきました。

超高齢化社会となり、精神科病院といえども、様々な身体疾患を抱えた患者さんが入院するようになりました。

自分が看護師になったばかりの頃と、10年経った今とでは明らかに状況が変わりました。

点滴や抗生剤を取り扱う機会は増えましたし、内科的な治療を長年受けている方が入院する機会も多くなりました

そして精神科に長期入院されている方も、高齢化してきており身体機能の低下が目立ってきました。

地域で暮らせていた患者さんが、体を悪くして入院するというケースも多くなってきました。

その結果、精神科看護師にも、身体管理をする力が求められる時代が来ています

おのずと身体管理をする力はついてきます。

もちろん一般科の経験がある看護師であれば、精神科で大活躍間違いなしですので、需要はかなり高いです

ぜひ今お持ちのスキルを精神科でも発揮してもらいたいです。

また高齢者が多く入院する「認知症病棟」や、精神科患者の急変の対応や術前術後の管理を行う「精神科身体合併症病棟」に勤務する精神科看護師は、精神科の中でも身体管理の能力が高いです。

一般科の経験がある方は自身のスキルを活かしながら、精神科の経験を積むのも非常におすすめです。

スキルに不安がある場合は院内の勉強会や院外の研修を活用しよう

前述のとおり、精神科でも身体管理をする力が求められ、ある程度は経験によってスキルを身につけることが出来ます。

しかし、それでも「身体管理をする自信がない」「フィジカルアセスメントの力が弱い」と不安を抱える看護師は多いです

その場合は、まず院内の勉強会や院外の研修を活用しましょう。

精神科の病院でもフィジカルアセスメントの研修会をしている所は増えてきています。

特に精神科単科の病院ではなく、精神科とともに内科や泌尿器科などの一般科も併設しているような総合病院であれば、身体管理についての勉強会や研修の体制を整えていることもあります

また身体管理について、看護師の教育体制を整えている病院は、当然患者さんに対しても身体をみる体制が出来ている病院と言えます。

そのような病院であれば、自分の患者さんの身体症状が悪化した場合でもきちんとフォローをしてくれます。その安心感の有無は働く上で重要です。

精神科への転職をご検討の際は、その病院が精神科単科なのか、内科等が併設されている総合病院なのかを確認してください。また看護師の教育体制についても調べてみると良いでしょう。

もし、ご自身で情報を集めることが難しい場合は転職エージェントを活用することもおすすめです。

エージェントは自分たちよりも病院について、多くの情報をもっており視野も広いです。

自分が求める条件を満たす病院を探すのであれば、エージェントの活用は非常に有用と言えます。

内部リンク 転職エージェント

精神科で看護師として働くデメリットはある?

デメリット
精神科看護師になるデメリットは?

では、精神科で働くデメリットはあるのでしょうか。

「レベルが低い」「使えない」と言われがちな精神科看護師になると、何かマイナスになることはあるのでしょうか?

ここでは実際の精神科での経験をもとに、精神科看護師になるデメリットについて解説していきます。

結論、デメリットはありません。

精神科看護師になったからといって、特別なデメリットはありません。

給料が下がることもありませんし、待遇が悪くなることもありません。

確かに「人工心肺の管理やドレーンの管理ができない」というように不得意なジャンルがあることは事実です。

しかし、得意不得意があるのはどこの領域も同じです

しかもその得意不得意も、明確に分けられるわけではなく、看護師それぞれ個人レベルで違ってきます

これまでに経験してきた病棟や、担当してきた患者さんによって看護師のスキルは大きく変わってきます。

ですので、「精神科看護師になること」がデメリットになることはありません。

精神科で得られる経験を大切に、知識や経験を修得していけば大丈夫です。。

精神科看護師が修得できる知識や経験はこれからの時代で必須

「高齢化社会」「ストレス社会」と言われる現代社会において、精神科看護師のスキルは必須ともいえる需要の高いものです。

たとえば精神科では、認知症のBPSD(行動・心理症状)と呼ばれる周辺症状への対応や、ユマニチュードを取り入れた関わり方を積極的に行います。

3か月~半年も働けば、認知症患者さんへの対応が概ねできるようになります

超高齢化社会において、軽度の認知症を抱える人は少なくありません。これからもどんどん増えていくでしょう。

  • 記憶力や理解力が低下し、感情のコントロールが難しくなる。
  • 自分の本意ではないところで他人に迷惑をかけてしまう。
  • 本人も周囲のご家族も疲弊してしまう。

そのような認知症患者さんやご家族への関わり方は、一朝一夕で身につくものではありません。

また、教科書や参考書を読んで簡単に身につくものではありません。

精神科看護師になって、チームで関わりながら、その対象の理解を深めてより良いアプローチの方法を考えていくことが必要です。

また、ストレス社会で年々自殺者が増える現代社会において、うつ病や抑うつ傾向がある患者さんを相手にどのように関わるのかは、看護師にとって非常に重要なことです。

実際に、自分の後輩で2年半だけ精神科で働いた方は、現在産婦人科の病棟で精神科で得たスキルを活かして働いています。

具体的には、精神科で鬱の患者さんへの看護について学んだことを、産後うつのお母さんへの看護に活かしています。他の看護師が鬱への対応に困っている中、その方は精神科での経験を基になんなく対応できているそうです。

精神科で働けば、自然と身につけられるこれらのスキルですが、これから先どんな領域でも活かせる力と言えます

これからの高齢化社会、ストレス社会で苦悩する人たちの力になるためにも精神科で働くことは看護師としてのスキルを高める良い機会だと強くすすめます。

精神科看護師の得意なこととは?

肯定的
精神科看護師の強みは?

 ではさらに詳しく精神科看護師が得意なことや、強みについて解説していきます。

薬の管理や説明がうまい

精神科において薬物療法は大きなウエイトを占めています。薬の処方は医師が行いますが、実際に患者に与薬するのは精神科の看護師です。

精神科ではその疾患の特徴や症状の波によって、内服に対して抵抗がある患者も多く、その不安に寄り添い、服薬の必要性を患者さんに伝える役割を看護師は担っています。

また診察での医師からの説明だけでは、患者さんが理解しにくい場合があります。

なぜなら、目に見えない「衝動性」「感情のコントロール」「幻覚・妄想」というものに対して、薬が処方されるからです。

例えば痛み止めであれば、飲めば痛みが消えるので効果が実感しやすく、患者さんは納得して服薬します

しかし、精神科の薬はそうはいきません。

薬を飲んだからといって、すぐに不安が解決することはありません。

急に幻覚妄想がきれいになくなることはありません。

そのような状況で服薬の必要性を理解しにくい患者に、薬を正しく飲んでもらえるように説明することは精神科ならではのスキルと言えるでしょう。

患者さんの精神機能の査定ができる

一般科の看護師が手術後の創部の状態の観察をしたり、身体機能の回復具合をアセスメントするように、精神科も患者の精神状態や精神機能の査定を行います。

しかし、人の感情は目に見えませんし、考え方は数値で測れません。

精神科看護師になると、精神症状や精神機能についてアセスメントし、言語化ができるようになります。

そのときに活用するのが「メンタル・ステータス・イグザミネーション(MSE)」という考え方です。

これには、精神機能を評価するときに必要な項目が細分化されてまとめられているものです。

たとえば、精神症状を評価するときには、外見、意識、記憶、認知、感情、意欲、思考、知覚、自我の9つの項目に分けて考えます。

そうすることで、曖昧な表現にならず、看護師同士や他職種と情報を共有しやすくなります。

このMSEこそが精神科看護師が他の領域に誇れるスキルだと考えます。

自信を持って精神科の看護師として働くために、MSEは覚えておいて損はありません

精神科の看護師はきつい?

精神科つらい
精神科は本当にきつい?

精神科看護師は、他の診療科に比べて「きつい」と言われる機会が多いと思います。

そこでこれから精神科看護師の実際と、「きつい」と言われる理由についてご説明します。

精神科がきついと言われる原因は?

 一番の理由は、「暴言暴力がある」ということでしょう。

精神科では統合失調症や認知症の患者さんを受け入れています。

統合失調症の方は幻覚・幻聴・妄想などの症状の影響で、暴言暴力に発展することがあります。

認知症の方も記憶力の低下や認知機能の低下によって暴言暴力が誘発されます。

その暴力リスクの高さが「精神科はきつい」と感じる理由のひとつといえるでしょう。

しかし、安心してください。

いまは、多くの精神科病院で暴力に対しての対策が徹底されており、そのリスクを極力低くするための活動がすすめられています

具体的にはCVPPPの導入です。

看護師が考えがちな「暴力は患者から一方的に受けるもの、看護師は被害者」という考え方から、

「患者の暴力は看護師が誘発している可能性もありえる」「暴力を起こすと患者にも不利益になる」という考え方に切り替えることが根底にあります。

そして「どうすれば患者が暴力を起こさずにすむか」ということを念頭に置いて、患者さんの暴力リスクのアセスメントをすすめ、関わり方を考えていきます。

このCVPPPの考え方を体得できると、患者との適切な距離をとることができ、お互いに安全に治療をすすめることができます。これも精神科で得られる重要なスキルです

精神科看護師は病む?

「精神科はきつい」と言われるもうひとつの理由が「精神科で働くと病む」というイメージです。

精神疾患の患者さんを相手にしていると、自分たちまで病んでしまいそうというものです。

しかし個人的には、精神科が他の領域と比べて、特別しんどい領域だと思ったことはありません。

もちろん精神的に病んだこともありません

10年間の臨床経験の中でも「精神科で働いたことが原因で病んだ」という方はいませんでした

「精神科がしんどくて病む」ということはないと考えています。

むしろ、生死に関わるような身体管理もありませんし、ルーティン業務の量は少ない方だと思います。

身体的には楽と言えるでしょう。

一方で、精神的にはストレスを感じることもあります

患者さんとの会話で言葉を慎重に選んだり、患者間のトラブルが起こらないように病棟全体の観察も必要なので、気を張ることはあります。

暴力のリスクにも気をつけないといけません。

しかし、一般科のようなシビアな身体管理の必要性がないことを考えると、精神的な負担が低いとも言えます

どう感じるかは個人差が出る部分だと思います

なお、時間的にきついと感じたことはありません

残業は全体的に少ないです。急な入院も基本的にありません。

急性期やスーパー救急の病棟のみ急な入院がありますが、それも同じスタッフばかりが残ることがないように勤務調整してくれることがほとんどです。

一般科の病院から来た看護師さんが、一番驚くのが退勤時間の早さだと思います。

精神科看護師に向いてる人は?

精神科看護師
精神科看護師に向いている人の特徴とは

 では精神科看護師に向いている人はどんな人なのでしょうか。大きく以下の3つの特徴があると考えられます。

  • 自己管理が出来る人
  • 頭が柔らかい人
  • 精神療法や対人心理学に興味がある人

どんな職種でも自己管理が出来る人は、仕事がスムーズにすすみます。

これは精神科看護師にも当てはまります。

不規則勤務でかつ夜勤帯も患者対応があるため、自身の健康管理ができるかも大切な要素です。

また様々な背景や価値観をもった患者さんを相手にする領域ですので、柔らかい頭で柔軟に物事をとらえられることが精神科では求められます。

そして精神療法や対人心理学など、専門的なコミュニケーション技法に興味があることが望ましいです。

れは精神科をめざす看護師であれば少なからず持っている要素だと思いますので、大丈夫かと思います。

詳しい説明は別の記事で解説します。あわせて参考にしてください。

 →精神科看護師に向いている人の特徴は?【体験談や仕事内容も解説】

精神科の看護師としてレベルが低いと言われないためにできること

ステップアップ
精神科の看護師として成長するには

これまで、精神科の看護師がレベルが低いと言われることについてご説明してきました。

実際に精神科看護師はレベルが低いということはありませんが、そのイメージがあるのも事実です。

では、レベルが低いと言われないために何ができるのでしょうか。そのための対策を3つご紹介したいと思います。

外部研修に参加して実力を上げる

まずは最もシンプルな方法です。

日本看護協会や日本精神科看護協会が様々な研修を行っています。

内容もバラエティにとんでおり、誰でも何かひとつは興味のあるジャンルが見つかると思います

会員になれば、比較的安価で研修に参加できますし、他の病院の人と情報交換ができるのも大きなメリットです。

精神科看護は看護の中でも特に「はっきりとした正解がない」といわれる領域です。

同じ病院の看護師だけでなく、他の病院の看護師の取り組みや考え方を聞くことは良い刺激になり、質の高い看護の実践につながります。

また研修に参加し、専門的な知識や技術を得ることで自分の看護に自信が持てるようになり、仮に「レベルが低い」と言われても堂々とした気持ちでいられます。

資格を習得して権威性を上げる

次に「新たな資格をとる」という方法をご紹介します。

資格をとり、権威性を上げれば、レベルが低いと言われることはなくなるでしょう。

精神科看護師が資格をとるというと、真っ先に浮かぶのが認定看護師や専門看護師という選択肢だと考えます。

いずれも一定の臨床経験と所定のカリキュラムをクリアして試験に合格する必要があり、正直険しい道のりだと思います。

金銭的にも時間的にも余裕がないと難しいため、機会を逃さないように計画を立てることが大切です。

病院によっては資格の修得に協力的な施設もあります。

受講料を負担してくれたり、研修期間中を出勤扱いにしてくれたり、病院によって様々です。

精神科に転職しこれらの資格をとろうと考える人は、事前に支援体制について情報を集めておくと良いでしょう

院内の勉強会に積極的に参加する

最後に一番身近で楽な方法を紹介します。それは院内の勉強会や研修に参加することです。

最近は、院内のスタッフ向けに勉強会を開催している病院も少なくありません。

看護協会の研修と異なり費用もかからず、勤務時間内に開催することが多いので気軽に参加できます。

また病院で行うものなので、現場ですぐに使えるテーマが多いため、実践しやすく効果を実感しやすいのがメリットです。

僕としては、精神科で体得できるスキルを伸ばしていくことが、自身のレベルアップに繋がると思います。

だから、日々の仕事に一所懸命取り組むことが一番の近道かなと思います。

まとめ

自分を信じて
自分を信じて

以上、「精神科看護師はレベルが低い」というテーマでお話をさせていただきました。簡単にまとめます。

  • 精神科看護師は使えない、きついということはない
  • 精神科だからこそ得られるスキルがあり、それが専門性になる。
  • レベルが低いと言われないためにも研修参加や勉強はしましょう

僕自身も「看護師としてレベルが低いか」と不安に思うことがありましたが、常に研修や学術学会に参加したり、医師が主催の勉強会に参加したりと、自信をもてるよう努力してきました。

いまではこうして精神科看護のことをお話できるようになりました。

この記事を読んだ皆さんも精神科看護師の魅力にハマって、他の領域に誇れる精神科看護師になってもらえたら幸いです。

もっと詳細な精神科看護師への転職について知りたい場合は、下記の記事も併せてご覧ください。

→精神科看護師へ転職するには?【仕事内容や適性についても解説します】

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この記事を書いた人

【経歴】
大阪大学医学部保健学科看護学専攻卒業後、大阪の精神科病院で10年勤務。慢性期・急性期・認知症・男子閉鎖病棟など、あらゆるステージの精神科の患者に看護を提供してきた。認知行動療法のグループの立ち上げも行う。看護研究も2例行い、いずれも日本精神看護学会の全国大会で発表している。現在は看護教員として未来の看護師の育成に励む。

【保有資格】
看護師、公認心理師

【コンセプト】
①精神科に興味がある看護師に精神科で働く魅力を伝える
②新卒で精神科で働きたい看護学生が安心して働けるように情報提供する

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