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精神科で看護師をするのは怖い?【理由や体験談を紹介します】
精神科で看護師として働くのは怖いと感じていませんか。
精神科は特殊な領域で、暴力や暴言のイメージが強いことから、「精神科は怖い」と心配になる方も多いです。
「怖い」というイメージを持ったままだと、働くモチベーションを保てません。
本記事では、「精神科は怖い」というイメージを持つ看護師のみなさんが、少しでも精神科に対して良いイメージを持つことができ、精神科で働きたいと思えるように、みなさんの疑問に答えていきます。
この記事では精神科病院で10年勤務し、様々な病棟を見てきた筆者が、自身の経験を基に精神科に興味がある方の不安を解消していきますので、ぜひ参考にしてください。
精神科が怖いと言われる理由や体験談
精神科が怖いと言われる理由についてtwitterで聞いてみました。
<blockquote class=”twitter-tweet”><p lang=”ja” dir=”ltr”>学生らにいまの時点での気持ちを聞くと「精神科は怖い」「どこまで踏み込んでいいかわからない」という声が出ました。<br>精神科以外に勤務されている看護師のみなさま、精神科って怖いイメージありますか?怖さの原因って何でしょう?<br>もちろん精神科の看護師の方もご意見聞かせてください</p>— ぎょうざ@看護教員×精神科×公認心理師 (@gyouzagorilla) <a href=”https://twitter.com/gyouzagorilla/status/1549406735596949506?ref_src=twsrc%5Etfw”>July 19, 2022</a></blockquote> <script async src=”https://platform.twitter.com/widgets.js” charset=”utf-8″></script>
現役精神科の看護師の話や、過去の体験談など様々な意見を聞くことが出来ました。整理をしてご紹介いたします。
暴力リスクの高さ
2017年1月に発表された精神科病院暴力行為実態調査報告書によれば、「精神科病院における暴力行為の特徴は,患者-患者間の暴力件数の多さに見られる。暴力行為は予測しにくく,発生時には重大事故につながることもある。」と言われています。
精神科には、本人の同意を必要としない強制的な入院形態があります。
自分の意思で入院をしていないため、看護師をはじめ医療者に対しての姿勢が一般科とは異なることもあることも、精神科の特徴です。
また、患者から看護師への暴力もあります。
現在は、暴力行為に対しての院内マニュアルが作成されていたり、包括的暴力行為防止プログラム (CVPPP)を導入していたりする病院も多く、精神科の暴力リスクに対する取り組みはかなり充実してきています。
そのため、暴力に関しては過度に心配する必要はありません。
相手を傷つけてしまうという不安
自分の言動で患者さんを傷つけてしまうのではないかという、不安からくる怖さも挙げられていました。
<blockquote class=”twitter-tweet”><p lang=”ja” dir=”ltr”>看護学生の頃は精神科実習前に「自分が相手を意図しないところで傷つけてしまわないか不安」という思いがあったので、そういった類の怖さは確かにあります。</p>— AY【看護師×プログラミング】 (@ayaka_nurse_) <a href=”https://twitter.com/ayaka_nurse_/status/1549653229377843200?ref_src=twsrc%5Etfw”>July 20, 2022</a></blockquote> <script async src=”https://platform.twitter.com/widgets.js” charset=”utf-8″></script>
「うつの人に頑張れと言うと余計に追いこんでしまう」と言われるように、自分の言動によって、患者さんの症状を悪化させてしまうのではないかと、不安になる人も多いでしょう。
その不安が、直接的に怖さに繋がっているで推察します。
しかし、そんなに心配しなくても大丈夫です。
私が指導者の立場として、実習生や新人の看護師にいつも伝えていることがあります。
それは「相手を尊重して誠意をもって関わっていれば、恐れる必要はない」ということです。
相手を下に見たり、軽蔑したり、興味本位だけで関わっていると、すぐに患者さんに伝わります。
そうしたネガティブな感情が、相手に悪い影響を与えることもあります。
一方で、誠心誠意、相手のことを思って接していれば、患者さんを悪化させるようなことは起こりません。大丈夫です。
仮に、良かれと思ったことが裏目に出たとしても、そのときは謝罪をすれば問題ありません。
例えば、自室で布団を被って大きな声を出している患者さんがいたとします。
その人を心配して、「大丈夫ですか?落ち着ける薬を持ってきましょうか」と声をかけます。
しかし、「いま薬使わんと、自分でがんばってるねん!」と患者さんを怒らせてしまいました。
この場合、看護師は「自分の声かけが悪かったせいで、怒らせてしまった」と後悔します。
こういうことは、私自身もよくありました。何度もあります。
これは決して悪いことではありません。他の患者さんであれば「気を利かせて、薬をすすめてくれてありがとう」となるかもしれません。
仮に怒らせてしまったとしても、時間をおいて自分の意思を伝えてみましょう。
「先ほどは失礼しました。いまは大丈夫ですか?ご自身でなんとかしようと頑張っておられたと思います。しんどい時にどうしたら良いか、一緒に考えていきたいです」
というように、看護師の誠意を患者さんに伝えれば、患者さんもそれを受け入れてくれることがほとんどです。
大切なのは「患者さんに対して誠実であるか」です。
「知らない」「分からない」という怖さ
twitterのリプライで最も聞いたものが、「精神科というものがわからないから怖い」という意見でした。
精神科は、特殊な領域で「イメージがしにくい」とよく言われます。
最近は、精神科が世間的にも認知されてきて、受診のハードルも下がってきています。
「実は精神科にかかって、薬をもらっている」という人も珍しくなくなってきました。
とはいえ、「精神科病棟に入院している患者さんがどんな人か」「どんな治療が行われているか」ということまではイメージしにくいですよね。
せいぜい学生時代に、精神看護学実習で数週間経験した程度でしょう。
「分からない=怖い」ということは、人間が本能的に持っている感覚です。
もしあなたが、精神科を怖いと感じる要因が「分からない、知らない」ことであれば、このブログをご活用ください。
精神科看護師のことを詳しく知って、怖さが解消されて、精神科に良いイメージを持って頂けたら幸いです。
→「精神科 看護師」
患者さんから怖いと言われる看護師の特徴
看護師が患者さんを怖いと感じるように、患者さんも看護師のことを怖いと感じることがあります。
どのような看護師が、患者さんに怖いと言われるのか解説していきます。
話を聞かない。否定から入る看護師
精神科の患者さんは、様々なお話をされます。
幻覚・妄想に左右された言動や、認知機能の低下によってつじつまが合わない話をすることがあります。
どうしても否定的に話を聞いてしまいがちです。
また、患者さんはそれぞれ「生きづらさ」を抱えています。
精神症状が原因であったり、家族関係や経済的な要因などが絡み合って「生きづらさ」を感じている方が多いです。
そんな中、勇気を出して看護師に悩みを相談したのに、頭ごなしに否定されては、もう次に話そうとは思えずに怖いと感じてしまいます。
「患者さんの気持ちに寄り添うことから精神科看護が始まる」と言っても過言ではありません。
良好な関係で話をしてもらえるよう、まずは「話をよく聞く、否定から入らない」ことを意識していきましょう。
いじわるで性格の悪い看護師
意地悪な対応をしていけないのは、当たり前のことですが、実際に働いていると意外と難しいです。
患者さんに嫌な態度をとられると、こちらも嫌な態度をとってしまいがちです。
人間同士なので、それは仕方ないことです。みなさんそれぞれに、思い当たる節があるはずでしょう。
特に、精神科では常識的ではない言動をする方もいらっしゃいます。
それに対して嫌な思いをすることもあります。
しかし、その気持ちを患者さんにぶつけてはいけません。
ぶつけるつもりがなくても、患者さんからすると「看護師にいじわるな対応をされた」「あの看護師は性格が悪い、怖い」と感じることもあります。
自分が臨床にいたときに、看護師からも患者さんからも支持される先輩看護師がいました。
その人の仕事ぶりを注意深く観察したところ、患者さんにいじわるな対応を一切していませんでした。
いじわるな対応をしないから、患者さんからも人気があり信頼されていたのです。
自分はその先輩の看護に強く惹かれて、意識的にいじわるな言い方や、考え方にならないように心掛けました。
みなさんも、少しずつで良いので「いじわるな対応をしない」ということを意識してみてはいかがでしょうか。
きっと患者さんに好かれ信頼される看護師になると思います。
精神科看護師に向いている人の特徴
ここまで読んで「自分も怖いと感じられたらどうしよう」「精神科を怖いと感じる人はどんな人だろう」と悩むこともあるでしょう。
そこで、精神科歴10年の私が考える「精神科看護師に向いている人の特徴」を3つご紹介します。
自分の感情を自覚し、コントロールできる
精神科では、人とのコミュニケーションが苦手な患者さんが少なくありません。
自分の想いや考えていることをうまく伝えられなかったり、不適切な方法で表現したりする方がいます。
時には、怒りや悲しみといった感情を強く看護師にぶつける方もいらっしゃいます。
強い感情をぶつけられて、看護師の感情も大きく揺さぶられます。
これ自体は決して悪いことではありません。
感情が揺さぶられるくらい、患者さんの話を真剣に聞いているということなので、問題はありません。
しかし、揺さぶられた感情のままに行動することは危険です。
混乱や困惑している患者と一緒になって、看護師も混乱してしまっては収拾がつかなくなります。
「自分がいまどういう気持ちか」「昂った感情を少し落ち着けよう」と自覚し、コントロールすることが大切です。
看護師として、自分の感情を自覚してコントロール出来る人は、精神科看護師に非常に向いていると言えるでしょう。
精神療法や対人心理学に興味がある人
精神科の怖さとして、「患者さんとどう接していいかわからない」という要因がよく挙げられます。
「鬱で落ち込んでいる人になんて声をかけていいかわからない」
「踏み込んだことを言って妄想や幻聴を悪化させそうで怖い」
など、不安に感じる人も多いと思います。
精神科では患者さんと接するときに、精神療法の考え方や心理学の技法を用いることがとても有効です。
対象の疾患や、精神機能や対人スキルを加味したうえで、治療的なコミュニケーションをとる必要があります。
日ごろから、精神療法や対人心理学に興味を持って、勉強ができる人は精神科に向いていると言えます。
精神科看護師を強くおすすめします。
周りに相談できる人
「怖い」と感じたときに、周りに相談できる人は精神科看護師にとても向いています。
精神科では、暴力リスクや自殺リスクが高い方が少なからず入院されています。
一人で患者さんの対応をしようと思ったら、「あれ?何か雰囲気が違うな、おかしいな」と危険を察知することもあります。
そんな時に、無理して自分ひとりで対応しようとすると、暴力を受けたり事故のリスクを見逃したりして、とても危険です。
何か異変を感じ取ったり、危ないと思ったときに周りのスタッフに相談して、安全策を取れる人は精神科でも活躍できます。
ここまでを見て分かるとおり、精神科看護師に必要なスキルは、一般的な看護師に必要なものと同様です。
そのため、無理に精神科を怖がったり、精神科だから特別なことをしなくてはいけないと思い込まなくて大丈夫です
精神科の怖さをなくすためにできること
では、看護師が感じる精神科の怖さをなくすためには何ができるでしょうか。
ここでは、精神科の怖さをなくすためにできることをご紹介します。
精神科のことを知ることが一番
前述の通り「知らない=怖い」ということは人間として当然の感情です。
知らないことで怖いと感じるならば、まずは精神科のことを知ることから始めてみましょう。
「精神科の看護師は病みそう」「精神科はきついイメージ」という不安を感じる人も、精神科看護師について理解を深めることで、少し不安が解消されると考えます。
詳しく別の記事でご説明してますので、ぜひ参考にしてみてください。
→内部リンク「精神科看護師 病む」「精神科看護師 きつい」
危険予測することは大切
twitterでも「怖いと感じることは悪いことではない」「むしろ危険予測として大事」というリプライが多く寄せられました。
精神科10年やってますが、精神科怖いって思うのは悪くないんじゃないかな?と思います。
— 鈴木ゆゆ@ペット連れの婚活ブログ (@suzukiyuyulog) July 19, 2022
実際怖い場面ありますし、怖い気持ちが危険予知とか安全の視点に繋がると良いと思います。
やはり、よくわからないから怖いんだと思います。実際の関わりの中で、怖いイメージを変えていければ良いかなと。
暴力リスクや精神症状の悪化のリスクから、「精神科を怖い」と感じることはあると思います。
しかし、それは「危険予測が出来ている」とも捉えられます。
経験を積んで精神科に慣れたとしても、暴力や事故のリスクを常に意識して、危険予測を出来ることは自分と患者さんを守るためにもとても重要と言えます。
結論:精神科の看護師として働くことは怖くない
- 実際に働いている看護師は「精神科が怖い」と思ってない人もいる
- 知らないから怖いと感じる。知ることから始めましょう
- 怖いと感じることは悪いことではない。危険予測は大切
以上、今回は精神科で看護師をすることは怖いのかということをテーマにtwitterからの声をもとにご説明しました。
精神科を志す看護師さんのお役に立てたら幸いです。
より詳しく精神科看護師について知りたい場合は、こちらの記事も合わせてご覧ください